GF*BF もう誰が誰を好きなのかわからなくなる恋愛映画

『GF*BF』という映画をご紹介します。高校が大人になる物語、主人公は幼馴染の男の子2人と女の子1人。どこから見ても青春・恋愛映画なんですが、俳優さんたちの好演もあって見ごたえがあります。人物の相関もこんなにシンプルなのに、それぞれの思いが交錯し、もう誰が誰を好きなのかわからないという気持ちになるのは観客のみならず、演者もそして登場人物自身もそうなのではないかと思います。

物語は、国民党による反体制派への監視が市民生活の隅々までいきわたっていた戒厳令期の高雄から始まります。強権的な教官や露店の古本屋が非合法雑誌を売るシーンなど、今の台湾の姿からは想像できないような息苦しさが伝わってきます。現在の台湾はといえば、ホーロー人、客家、原住民の多元的な文化を認め、さらに新移民の受け入れ、同性婚の合法化などを進める自由と民主のお手本のようなところです。まさに隔世の感ですね。また、台湾では「同志文学」と呼ばれるLGBTをテーマにした文学の一大ジャンルがあることも作品を理解するうえで参考になるかもしれません。邪道ですが、時々停止したり戻したり時代背景を検索したりしながらじっくり見るのもいいかと思います。