小笠原欣幸『台湾総統選挙』の序章「台湾政治概説」がめちゃくちゃ分かりやすい

木曜夜クラス、當代中文課程第三冊の12課をやっています。さすがにこの辺りまで来ると内容も社会的で、この課は台湾の選挙がテーマです。

台湾の選挙といえば大々的に行われる総統選挙の模様は日本でも報道されますが、表題の小笠原欣幸著『台湾総統選挙』という本は台湾総統選挙が始まった1996年以降、前回2016年までの各回の争点、戦況、展開を詳説した良書です。

 

なかでも、序章「台湾政治の概説」は国民党による台湾接収以降の台湾の政治史が非常にわかりやすくまとめられています。

また第1章「総統選挙の争点」では投票行動の背後にある行動原理や米中日などの外的影響を解説しています。この序章と第1章が台湾政治の概説としておすすめです。

台湾の政治というと国民党と民進党という2大政党があますが、まさか本省人と外省人という単純な二項対立ではないだろうということは分かっていても、そのなかにどのような立場があるのかを理解するのがなかなか難しいと私は常々感じていました。本序章はその辺のところを実に明快に解説しています。また、台湾にはルーツが異なる様々な人々が暮らしていますが、それぞれの関係性や政治的立場の違いもよくわかります。

台湾総統選挙

  • 作者:小笠原 欣幸
  • 出版社:晃洋書房
  • 発売日: 2019/11/10
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