街の本屋さんに行けば中国語の参考書はたくさんありますが、ほとんどは中国の中国語(普通话)。なんだか、ちょっと気分が乗らないなあ、という方におすすめの教材があります。


『今日からはじめる台湾華語』樂大維 著 白水社 2600円+税

台湾と日本の大学院で中国語教育について研究し、台湾とのゆかりが非常に強い拓殖大学で教員を務める台湾人の著者による、台湾華語の入門教材です。

台湾とはどんなところ?どんな民族が暮らしている?、中国語はひとつじゃないの?といったQ&Aが巻頭におかれ、親しみやすい導入となっています。

またゆったりとしたレイアウトも読みやすくて良いです。



全編旅行会話仕立てになっていますので、中国語の文の仕組みも理解しつつ、実践に使えるフレーズも覚えられるようになっています。

ただし、レベルとしてはかなり易しく(たとえば、把構文や受け身文、補語は導入されません)、これを一冊仕上げることを初級の目標とするのは物足りない感じがします。



したがって、この1冊を時間をかけてしっかりやりこむのではなく、中国語への第1歩として3か月くらいでさっと仕上げて、2冊目に移行するのがいいようです。



本書で台湾華語の概要が掴めたら、次は今年4月に発刊された『もっと知りたい台湾華語』(張珮茹 著、白水社 刊)で初級文法の総仕上げにつなげていくのがおすすめです。



今年は上記の『もっと知りたい台湾華語』のほかにも、本邦初となる台湾華語の単語集『台湾華語単語はじめの1000』(林虹瑛 著 アスク出版 刊)、キクタンシリーズ待望の台湾華語版『キクタントラベル台湾華語』(渡邉豊沢 著 アルク 刊)など台湾華語の学習教材が陸続と出版され、台湾華語から始めたい人にとっては大変嬉しい状況ですね。

ただ、中級以上になってくると、やはり中国語(普通话)の学習教材を「流用」して学習を続けることになると思います。

そのような意味でも「台湾華語」ということにこだわらず、広く中国語として学んでいくのがいいように思います。

いつも、あちこちで言っているのですが、映画にしろ、食べ歩きにしろ、何にしても両岸三地(中国・台湾・香港)もシンガポール・マレーシアも丸ごと楽しめるのが中国語のいいところなのです!