たとえば、教習所で初めて車を運転したとき、サイドブレーキ、シフトレバーにウインカー(あ、こっちワイパーだ!)ひとつひとつの動きを意識的にぎこちなく行っていたと思います。

でも、毎日運転していると、たとえラジオに集中しながらでも一連の操作を無意識に行えるようになります。身に付いた技能は自動化され、もう意識にのぼることすらないのです。

台湾華語の勉強が中級にさしかかって文法のルールもだいたい分かってきたという人は、少しずつ多読を続けてみましょう。沢山の実例に浸っているうちに、文法が文法ですらなくなってきます。

そうは言っても、台湾の雑誌や小説をまるまる読むのはまだちょっとしり込みしてしまう、という方におすすめの本があります。

『日本人が知りたい台湾人の当たり前 台湾華語リーディング』二瓶里美・張克柔 著 2200円+税 三修社

タイトルの通り、日本人にとって気になる台湾の暮らしや風習にかかわる50のトピックを易しい台湾華語で紹介しています。

この本のおすすめポイントを3つあげます。

興味を惹くテーマ

扱っているのは、例えばこんなトピックです。

漢方と西洋医、どう使い分けてるの?

ビールに氷入れるの?

なんでも大同電鍋でつくるの?

彼氏が毎日送り迎えしてくれるの?

外国名が多いのはなぜ?

ぱらぱらめくっていると、興味を惹かれて読み始めてしまう感じです。

台湾の人はバスタブに浸からないの?なんていうトピックもあって思わす「沖縄みたいだ!」と思って読み進めると、バスタブはあっても物置になっているお宅もあるとか。これも沖縄で聞いたことあるぞ(笑)

分量が手ごろ

左ページが台湾華語、右ページが日本語の対訳で、見開きで一つのテーマが完結します。長すぎず短すぎず、この辺の加減が絶妙です。

だいたい3、4段落の文章で文体的にも硬すぎず、易しすぎず、内容に集中して読んでいるうちに文法の知識が整理されます。

単語レベルが手ごろ

英語では学習者向けに単語レベルをコントロールしたグレーデッド・リーダーが沢山ありますが、日本で手に入る台湾華語学習者向けのリーダーはおそらくこれまで皆無といっていいのではないでしょうか。

 中国語学習雑誌の編集をなさっていた日本人編集者と日本映画の翻訳もある台湾人翻訳者の共著による書き下ろしということで、学習者にもよく配慮され、文章もとても読みやすいと感じます。

ちなみに、同じシリーズで『日本人が知りたい中国人の当たり前』という本もあります。こちらも思わず引き込まれる内容です。台湾華語を学んでいるのに中国語に全く触れないのは本当にもったいないので、簡体字への目慣らしも兼ね、こちらも併せて一読をおすすめします。