中国語レッスンに参加されているみなさんが中国語で、あるいは中国語に関する話題について自由に話せるLINEグループを作っているのですが、その中で「中国語の交通標語」が話題になりました。

単純に、「飲酒運転はやめましょう」などを話し言葉で「你喝酒的時候不要開車喔!」などというのとは違って、標語は簡潔で、頭に残るフレーズにする必要があり、音の数を整えたり、韻を踏んでみたり、ゴロがよくなるような工夫が必要ですね。

「交通」「文宣」などのキーワードで検索するといろんな交通標語やポスターが出てきて、実際に台湾や中国で使われているポスターなどがみられて面白いです。「文宣wén xuān」というのは広告のコピーのことです。

注意安全       「安全運転」

路口減速行車    「交差点では減速」

零酒精,才上道   「アルコールゼロ運転」

後座請繫安全帶   
「後部座席もシートベルトを」

開車請勿滑手機   
「運転中は携帯を使わないで」

安全行車,平安回家 
「安全運転で帰宅しましょう」 

「行車」と「回家」がどちらも2声+1声で響き合いますね

保持車間距離 
「車間距離をたもちましょう」

交通安全,人人有責 
「安全運転はみんなの責任です」 

「人人有責」は標語やスローガンでよく見かけます

交通規則記在心,行車安心好在心 
「交通ルールを心にとめて安全運転を」  

「記在心」と「好在心」でそろえていますね。

こうして見てみると、押韻したり平仄を揃えたりとまではいかないものの、小うるさいお小言でも耳にあらがわないような工夫がみられますね。

例えば、前半と後半が3:3、4:4、7:7といった対になっているものが多いですね。

音節数については、ここにあるもの以外にもいろいろ見てみると、7文字が多いようです。

高校の古典の授業で漢詩の形式として五言、七言詩が唐代以降に成立したと習いますが、現代でも7音節というのは中国語話者にとって「ゴロがよい」と感じられるのではないでしょうか。

日本では7文字か5文字で刻まれるリズムが心地よいですね。
「飲んだら乗るな」は7文字で、前半後半が「の」で始まっていてゴロがいいですね。

中国語で言いたいことが言えるようになってくると、つぎは「どのように言うか」ですね。中国語を話す人にとって、どんな言い方が「刺さる」のか?交通標語や広告のコピーはそれを知るいい材料になりますね。